まず当然の知識としてIR、つまりIntegrated Resort(統合型リゾート)開発に大きく関わっているのは国と国際社会であるということだ。
日本の企業単独では法改正も含みこれだけ大きなプロジェクトを進めることはまず不可能だ。資金面もさることながら、法改正を含めた議員に対する根回し、地域住民の説得、巨大な利権の取りまとめなどそう簡単に纏まるものではない。
そこで経験の豊富な国際企業や専門家たちを取り込み、長い時間と関係各所への駆け引きを織り込んで政府与党内でIR推進会議として立ち上がったのが平成28年である。巨大なIRは巨万の富と雇用、税収を見込める官民にとって(道徳的意義は別として、また利権的にも)喜ばしい目的であるのだ。
紆余曲折を経たのち、いろんな鼻薬が効いたのか無事に本件は議会を通過し法整備もなったが、いざ実行となるとその候補地の地元が問題であった。賭け事という日本人にとってはタブーな話題を推し進めようという動きに嫌悪感や反発を示す動きは必ずある訳で、マスメディアもコウモリの如く賛成にも反対にもとれるように報じるので候補地決定までには若干の時間は掛かった。
それでも多くの民衆の支持を受ける大阪維新が選挙で完勝し即日IR認定を出したことから、日本最初のIRは大阪夢洲での可能性が最も高くなった。2025年の関西万博の跡地施設を使ってのカジノ計画は前途多難の万博をしり目に順調に(水面下で)進んでいる。
それではIRは誰に恩恵があるのか?一番の恩恵は行政にある。税収が飛躍的に伸びるからだ。
円安の現在、海外マネーはいくらでも入ってくる。安全で健康、文化の成熟度も高い、美味しいものがあり衛生的、日本と言う国は海外からの来訪者が来やすい世界一の国だ。しかしアミューズメントが足りない。観光やサブカルチャーも興味がない人には何の魅力も与えない。その場所にとどまって外貨を落としてこその価値が必要だ。移動し、物を買い、飲食をし、泊まる。その全てがIRにはある。
中でもカジノ事業は何もしなくてもお金が落ちてくる。射幸心を煽るだけでいいのだ。煽れば煽るほどてら銭が入ってくる。落としてくれるのが外国人なら日本人以上に良い。日本人の落とす金は内需でしかないが、外国人の落とす金は貿易なのだ。安く仕入れて暴利が貪れるのは海外からの方がいい。
とにかく大阪のIRに求められているのは他のリゾート施設からの売り上げではなく一点集中、全体の8割を売り上げると見込んでいるカジノ施設なのである。力の入れようが違ってくるだろう。それに合わせて社会もブームに乗れとばかりに参入してくるのは間違いない。
一歩先を行くのは誰(どの企業)か。